不調は突然やってくる
順調に妊娠生活を謳歌中の皆様、母子ともに普通に過ごせているのであれば何よりです。おめでとうございます。
私たちも、双子ちゃんのため2週間に一度の検診を受けてはいますが、ベビちゃんたちは今のところ大きな問題もなく順調に育っているようです。
とはいえ、病気もそうですが、一見順調にいっているとき程、不意に訪れるネガティブなイベントに慌てることになります。
妊娠中、比較的よく起こりがち5つの事象と、その対処方法をまとめてみました。
- 体重が増えた
- むくみで歩けない
- 熱が出てしまった
- お腹のハリが強い
- 出血があった
それぞれちょっと掘り下げてみようと思います。
1.体重が増えた
つわりが治まってきた頃、もしくはつわりなんてなかった!なんて妊婦さんは、猛烈な食欲に悩まされる方がいらっしゃいます。
そして検診の時に、「体重増えすぎてますね、気を付けてくださいよ!」なんていわれることも多いです。そもそも、妊娠中は太りやすく水分や栄養を体内に蓄えようという働きが強いため、コントロールが難しいのも事実。
でも、検診で先生が指摘するのはただ太っているからではなく、栄養過多を起因として過度の肥満による、「妊娠高血症候群」や「妊娠糖尿病」などのリスクを心配してのことなのです。お菓子や油物などの高カロリーのものはできれば避けて、高たんぱくでバランスの良いものを・・・なんて説明を受けます。わかっちゃいるけど、なかなかできないのが人間ですよね。
うちの奥様は、芋けんぴを袋ごとボリボリ食べてましたからねぇ…。「硬いものを食べると落ち着くのよっ。ストレスためちゃダメでしょ?」と言ってましたが、モノには限度ってものがありますからね。2袋一気に食べたりしたらダメでしょ。それ一回で1,000Kcal超えてますからね。
2.むくみで歩けない
これは、地味につらいみたいです。一見重篤な疾患ではないので周りからは理解されにくいですが、足のむくみは大変なのです。
靴が入らない。歩くだけで痛い。体が重く感じるので体重が増えている気がする。
うちの奥様も、34週を過ぎたあたりから、1週間に体重が1キロずつ増えている時期があり、先生にも、うちの奥様のむくみは水分による体重増加ですから。と言われているにもかかわらず、本人にとってはみるみる太っていく様で、つらかったらしいです。
毎日のように「やばい、また太った。体重増えるの止まらない。私どうなっちゃうの?」と言われ…そのたび「大丈夫だよー、体重増えてるのはむくみが原因みたいだから、ほとんどが水だって。出産したら体重も減るよ。」と言って慰めてました。
この当時は「そんなわけない!」って反論されてましたけど、出産後一か月で体重はほぼ元に戻りましたからね(笑)。
※高血圧や尿蛋白を伴う重度のむくみは、妊娠高血圧症候群の可能性があり、危険な場合がありますので、検診の血液検査や尿検査もそうですが、まずは先生にちゃんと相談してくださいね。
3.熱が出てしまった
これまたよくありがちなのですが、そもそも高熱の原因が何なのかをちゃんと確かめた方が良いです。単なる疲れや風邪の場合もあれば、インフルエンザや、風疹という場合もありますし、そもそも感染症や食中毒などの可能性もあります。
妊娠中は生ものを控えたほうが良いといわれる理由の一つでもありますが、「ノロウイルス、ロタウィルス、腸炎ビブリオ、O157などなど」発症すると怖いものが多いです。
厚生労働省が掲示している「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項及びQ&A」
の中にもあるように、特に魚類で、マグロ、カジキ、キンメダイ、イルカなどは、「メチル水銀」の濃度が高いため、妊婦には注意が必要です。よく、妊婦がマグロ食べまくったりしたらよくないよ。というのは都市伝説ではなくこちらが理由ですね。
簡単に解熱剤を飲めないこともあり、熱が高いとか熱が出ている期間が長いようであれば、こちらもまずは先生に相談することが大事かと思います。
4.お腹のハリが強い
これはハリの強さや期間によっては、即病院に行くべきです。
ただ、ハリの感じ方は人それぞれ違うので、どれが危険なおなかの張り具合なのか、最初はわからないと思います。張り具合の見極めに関しては、普段の検診時に聞いてみておいた方がいいと思います。
とにかく、いつもと違うハリを感じたら即座に安静!しばらくして落ち着くようであれば生理的な張りの可能性もあるので様子見でもいいですが、不安を感じたらすぐ来て。というのが先生のお話。
うちは、双子なのでお腹にパンパンに入っていましたが、奥様自体はそれほどハリを感じなかったと言っていました。ん~傍から見てるとパンパンでパッチパチだったんですけどね、ヘソもひっくり返って表に出てきてましたし。わからないものです。
先生曰く、「二人も入っていればこんなもんですよ。ははは。」と言ってましたわ。
5.出血があった
いわゆる妊娠中の不正出血と言われるものですが、出血の量にかかわらず要注意です。上の4つとは違い、重大な疾患が隠れている場合もあるので、下でさらに詳しく書いてみたいと思います。
妊娠の極初期であれば、「排卵出血」や「着床出血」などもあるようですが、妊娠確認後、特に中期以降であれば、何らかのトラブルが原因で不正出血が起きている可能性があるため、気を付けなければならないです。
出血はホントにまずい時がある
基本的に、妊娠中の出血に関してはかなり注意しておいた方が良いです。
よくある出血の原因としては、
切迫流産・早産
妊娠22週を境に呼び方が異なりますが、妊娠が継続できなくなる場合、22週未満が「流産」、22週以降が「早産」となり、それぞれ流産・早産の一歩手前の状態が「切迫流産」「切迫早産」となります。
切迫流産・早産のときには、少量の出血や腹痛などが自覚症状として現れることがあります。
前置胎盤
妊娠16週頃で、胎盤がほぼ完成しますが、胎盤が子宮口に近い場所にあると「前置胎盤」と呼ばれ、稀に出血を伴うケースがあり、胎盤が子宮口を塞ぐ様な状態だと出血が多くなる傾向があります。
子宮頚管無力症
子宮頚管無力症とは、陣痛が来たわけでもないのに、本来はまだ開かないはずの子宮口が、妊娠中期の段階で開いてしまう疾患で、発症率は、1%以下と高くは無いらしいのですが、流産・早産の原因のうち約20%ほどを占めているそうです。また、出産の経験がある人の場合、子宮頚管に裂傷をともなう場合もあり、出血がある場合があります。
常位胎盤早期剥離
こちらは、胎児と母体に命の危険の高い疾患として有名ですし、ご存知の方も多いと思いますが、簡単な説明にすると、
「何らかの原因で、赤ちゃんがまだお腹の中にいるうちに、胎盤が子宮壁から剥がれてしまうこと。」
となります。確率は低いものの胎盤が剥がれると子宮壁から出血し、胎児への酸素と栄養の供給が止まってしまい、赤ちゃんは窒息しているような状況になっています。最悪の場合は胎児死亡に至ります。
また、母体に対しても胎盤の早期剥離により、子宮内で大量出血が発生することとなり、自らの出血で生じた血腫がさらに周囲の胎盤を剥がし、全身の血管内に小さな血栓ができる「播種性血管内血液凝固」という疾患を引き起こす恐れがあります。
発症すると、血小板などの血液を固める成分を一気に消費してしまい、さらに出血が止まらなくなる状況に発展する場合があり、出血性ショックによる貧血、血圧低下が起き、その結果として子宮摘出となったり、母体の生死に関わることも起きるのです。
常位胎盤早期剥離の発症リスクの高い人としては、
- 喫煙者(副流煙も含む)
- 常位胎盤早期剥離の経験有り
- 妊娠高血圧症候群
- 絨毛膜羊膜炎
- 羊水過多症
- 子宮筋腫
- 多胎妊娠!
などがあります。そう、双子ちゃんも早剥のリスク高いんですよね。。。
切迫早産の原因の一つでもあって、妊娠後期30週以降で多く見られるとのことなので、もし以下のような兆候が見られたらすぐに病院へ行き診察を受けることをお勧めします。
- 断続的な下腹部痛や背部痛が有り、収まらない
- お腹が張って石のように固くなる
- 赤ちゃんの動きが弱くなったり、感じなくなっている
- 前期破水が起きる
- 不正出血があり、収まらない
常位胎盤早期剥離は、赤ちゃんの死亡率が上がるだけでなく母体へのダメージも大きいので、自分の異常の徴候を早く掴むことが重要となります。
とにかく準備が大切
妊娠後期に入ったら、いざと言う時にすぐ病院に行ける、もしくは連れて行ってもらえるよう、親戚や家族と話をして準備を整えておきましょう。入院時に必要なものとか、保険証や母子手帳セットなんかも、わかるところに保管しておいて、場所を知らせておくようにするのが良いです。
すぐ呼べる近隣タクシーの電話番号を携帯に登録しておくと慌てずに済みます。しかも最近は、マタニティタクシー(陣痛タクシー)などのサービスを展開しているタクシー会社もあるので近くにあるかどうか調べてみてください。
とにかく出血が見られたときは即安静。妊娠時期と出血量にもよりますが、すぐに先生(病院)に相談して受診をするのが一番かと思います。早めの処置が大事です。
妊娠37週をこえてくると正産期になり、いつ生まれてもおかしくない状態となります。子宮口が徐々に開くことによって起きる”おしるし”と言われる少量の出血の場合もあります。これは体のトラブルではないのですが、37週以降であっても出血量が多かったり、出血が止まらず続くようであれば迷うよりも受診しましょう。
今回は、先生に話してもらった内容を基に書いてみましたが、妊婦さんというのは、危険と常に隣り合わせであることを思い知らされますね。
仕事でもそうですが、順調な時ほど、身を引き締めていかないといけないのかもしれません。